上で述べた保険の入れ歯の欠点は、クラスプという金属の部分が目立ってしまい、入れ歯を入れていることがわかってしまう事、そして、床の部分にレジンという強度の強くない素材で噛む力を受け止めなければならないため、それ自身を厚くして補強しなければならない点です。床が厚くなるということは、口の中が狭くなり、歯にかかるクラスプの段差も加え、違和感が大きくなります。
保険外の入れ歯では、しくみや素材を変え、様々なテクニックを駆使することにより、審美面を改善し、入れ歯とわからないようにしたり、違和感を減らし、装着感をアップさせています。つまりQOL(Quality of Life = 生活の質)を高めるための入れ歯です。
入れ歯のうち、人工歯から内側の部分を金属に置き換えた入れ歯です。保険の入れ歯では、この部分をレジン(樹脂)で作りますが、強度を出すために最低2mmの厚さが必要になり、その分は違和感が避けられません。
これに対し、金属床入れ歯は、強度のある”金属”という素材を使うことにより厚さを1/4~1/3にすることができます。また、金属は熱を伝えやすい性質があり、熱いものは熱く、冷たいものは冷たく感じやすくなります。
金属床の(金属の)種類には、コバルトクロム、チタン、白金加金などがあります。
この中でチタンは、軽くて強度があり、なおかつ生体親和性のある素材です。生体親和性とは、人間の組織にアレルギーを起こさず、なじみの良い性質を言います。この性質を利用してインプラントや人工関節や骨折を繋ぐボルトとしても使われている金属です。また、軽いという性質は、上顎の入れ歯にとっては非常に有利に働きます。
白金加金は、主成分を金とプラチナ(白金)から成る合金です。腐食に強く、精度面で優れた素材で色調も淡い金色で見た目の豪華さは一番です。この反面、比重が重いため、下顎の入れ歯に適しています。
残っているご自身の歯の根の部分に、磁石に吸い付く金属(磁性金属)、入れ歯側(の裏側)のこれと接する部分に超小型高性能磁石を埋め込み、磁力により入れ歯をピッタリと安定させる方法です。構造上歯髄(神経)の残っている歯には使用できませんが、メリットの多い方法です。
【メリット】
- ●グラグラしている歯や根だけの歯も利用できる
歯に対して高さの低いキャップを被せている形のため、歯の負担になる横揺れの力を受けにくい構造で、弱っている歯も入れ歯の安定のために有効に使うことが出来ます。
- ●審美性に優れ、見た目もスッキリ
磁石を使うことで、針金状のバネがなくなり、見た目もスッキリと自然です。(磁石や金属部分は入れ歯の下に隠れて見えません)
- ●装着、取り外しが簡単です
強力な磁石によって入れ歯を近づけるだけで、所定の位置に吸い付くようにはまります。残っている歯に引っ掛けるバネや複雑なしくみもないシンプルな構造なので、簡単に装着、取り外しが出来ます。
- ●ピッタリ固定、よく噛める
強力な磁石によって入れ歯を近づけるだけで、所定の位置に吸い付くようにはまります。残っている歯に引っ掛けるバネや複雑なしくみもないシンプルな構造なので、簡単に装着、取り外しが出来ます。
- ●お手入れが簡単
お手入れは普通の入れ歯と変わりません。シンプルな構造なので、食べカスがつまりにくく、お掃除も簡単です。
コーヌスクローネは、ご自身の残っている歯に被せ物(内冠)を接着させ、この上にもう一つの被せ物(外冠)をつくり、こちらは入れ歯と連結します。
入れ歯を入れると内冠の上に外冠がすっぽりかぶり、摩擦力でバネの代わりをします。わかりやすく言いますと、ちょうど円筒形の茶筒のふたをすっぽりとふたをしたときのように、ぴたっと密着した様な状態が入れ歯を外れないように支える力になります。もちろん、この方法でも入れ歯のバネは見えません。(使っていないのです)
外冠の表側も樹脂で白くできますので、外から見ただけでは入れ歯であることがわかりません。審美性と安定性を兼ね備えた方法です。
ご自身の残っている歯と入れ歯にそれぞれオス、メスの装置をつけ、レールのようにかませて入れ歯を固定する方法です。各装置は型をとった模型上で完全に平行に設計され、入れ歯を入れると力が加わってもブレがなく非常に安定しています。もちろん金属のバネはありません。
この入れ歯にも金属のバネはありませんが、かといって特別な装置もついていません。秘密は歯肉の色をした部分の床にあります。この素材自体に弾力があり、力をかけると少したわみます。この性質を利用してバネがかかる部分の歯を床で一部覆い、入れ歯が外れるのを防止します。非常に単純なしくみで、バネのない審美的な入れ歯を作ることが出来る方法です。
入れ歯のうち、歯肉に接する部分を生体用シリコンという弾力のある素材で裏打ちした入れ歯です。入れ歯を支える部分の歯肉が薄い場合や、骨の凹凸が激しい場合には、噛む力が入れ歯を通して歯肉を痛めてしまい、いくら調整しても痛みが取れない場合があります。
こういった場合に、入れ歯の裏側に生体用シリコン(白いゴム状のもの)を貼り付けることで、クッションの役割を持たせ、歯肉にかかる圧力を軽くして、噛んだときの痛みを和らげることが出来るのです。また、生体用シリコンが吸盤のような働きをして、入れ歯を外れにくくし、しっかりと噛めるようにする働きもあります。
過去にも入れ歯を裏打ちする弾力のある素材はありましたが、これとコンフォート入れ歯の異なる点は、接着剤を使わずに入れ歯と生体用シリコンが化学的に結合しているため、非常に剥がれにくいということです。今までの素材は半年~1年で接着剤が劣化して剥がれてしまうことが多かったのですが、コンフォート入れ歯はこの「剥がれ」に対して3年間のメーカー保証付きです。