家族や夫婦で歯周病が似る理由を歯科医師が解説
― 武蔵小山のよしだ歯科クリニック
「歯周病菌は家族にうつるのですか?」
歯周病の説明をしていると、患者さんからよくいただく質問です。
歯周病はむし歯と同様に細菌感染が関与する病気ですが、実際には「うつる」という言葉だけでは説明できない複雑な特徴があります。
本記事では、歯周病の原因菌の一つであるPG菌(Porphyromonas gingivalis)を中心に、
- PG菌は人から人へうつるのか
- 夫婦や家族で歯周病が似る理由
- 日常生活で気を付けるべきこと
について、現在の歯周病学に基づいて解説します。

PG菌とは?
PG菌(Porphyromonas gingivalis)は、重度歯周病との関連が深い細菌です。
歯周ポケットの深い部分に生息し、
- 強い炎症を引き起こす
- 歯を支える骨の破壊に関与する
- 細菌バランスを乱す
といった特徴があります。
現在では「キーストーンパソジェン」と呼ばれ、歯周病研究の中心的な細菌の一つとされています。
PG菌は人から人へうつるの?
結論から言うと、
PG菌を含む歯周病関連細菌は、人から人へ伝播する可能性があることが報告されています。
唾液を介した接触によって、
- 家族
- 夫婦
- 親子
の間で同じ種類の歯周病菌が検出されることがあります。
ただし、
👉 「PG菌がうつった=歯周病になる」というわけではありません。
ここが非常に重要なポイントです。
PG菌の伝播イメージ
家族・夫婦
↓
唾液を介した接触
↓
PG菌が伝播する可能性
↓
口腔内に定着することがある
家族や夫婦で同じ菌が見つかることがある
複数の研究において、
夫婦間や親子間で類似した歯周病菌が検出されることが報告されています。
これは、
- 食器の共有
- 口移し
- 唾液の接触
などが関与している可能性が考えられています。
ただし、細菌の伝播が確認されても、
必ず歯周病が発症するとは限りません。

うつることと発症することは別問題
歯周病はインフルエンザや新型コロナウイルス感染症のような急性感染症とは異なります。
歯周病の発症には、
- 細菌
- 免疫反応
- 生活習慣
- 喫煙
- 糖尿病
- 口腔清掃状態
など、多くの要因が関与します。
そのため、
PG菌が口腔内に存在していても、
- 歯周病にならない人
- 重症化しない人
も少なくありません。
歯周病発症の仕組み
PG菌
+
清掃不良
+
免疫低下
+
生活習慣要因
↓
歯周病発症・進行
なぜ家族で歯周病になりやすいの?
家族で歯周病が似る理由は、細菌だけではありません。
共通するものとして、
- 食生活
- 喫煙習慣
- 歯みがき習慣
- 定期受診の有無
などがあります。
つまり、
👉 「細菌環境」と「生活環境」の両方を共有している
ことが大きな理由です。
子どもにPG菌はうつる?
乳幼児の口腔内細菌叢は成長とともに形成されます。
保護者との接触を通じて細菌が移行する可能性はありますが、
現在の歯周病学では、
「PG菌の伝播を恐れて親子接触を避けるべき」
という考え方は推奨されていません。
重要なのは、
- 家族全体の口腔衛生管理
- 保護者自身の歯周病管理
です。
日常生活で過度に心配する必要はある?
現時点で、
- 食器を完全に分ける
- 家族との接触を避ける
といった対応が推奨されているわけではありません。
むしろ重要なのは、
👉 歯周病を放置しないこと
です。
歯周病のある方は、口腔内の細菌量が増加しているため、
まずは歯周病治療を受けることが大切です。
PG菌を増やさないために重要なこと
PG菌は、
- 深い歯周ポケット
- 出血
- 酸素の少ない環境
を好みます。
そのため、
① 毎日のセルフケア
- 正しい歯みがき
- 歯間ブラシ
- デンタルフロス
が重要です。
② 歯周病の早期治療
歯周ポケットが深くなるほど、
PG菌は増殖しやすくなります。
歯ぐきから出血する場合は、早めの受診をおすすめします。
③ 定期的なメインテナンス
歯周病は治療後の管理が非常に重要です。
定期的なクリーニングによって、
細菌量のコントロールを行います。
図③ PG菌対策
セルフケア
+
歯周病治療
+
定期メインテナンス
↓
PG菌をコントロール

武蔵小山で歯周病管理をご検討の方へ
歯周病は細菌だけでなく、生活習慣や全身状態も関与する慢性疾患です。
PG菌は人から人へ伝播する可能性がありますが、
最も重要なのは、
👉 「細菌が定着しやすい環境を作らないこと」
です。
よしだ歯科クリニックでは、
- 歯周ポケット検査
- 歯周病の進行度評価
- 専門的クリーニング
- 継続的なメインテナンス
を通じて、歯周病管理を行っています。
まとめ
PG菌(Porphyromonas gingivalis)は、人から人へ伝播する可能性がある歯周病関連細菌です。
しかし、
PG菌がうつることと、歯周病が発症することは同じではありません。
歯周病の発症には、
- 細菌
- 免疫
- 生活習慣
- 口腔清掃状態
など多くの要因が関与します。
そのため、
✔ 家族全体で口腔ケアを行うこと
✔ 歯周病を放置しないこと
✔ 定期的な歯科受診を継続すること
が、最も重要な予防策と考えられています。
この記事の監修者
よしだ歯科クリニック 院長 吉田浩一
東北大学歯学部卒
武蔵小山のよしだ歯科クリニックの「歯周病」の解説ページはこちら