歯周病は「除菌する病気」ではなく「管理する病気」です
― 武蔵小山のよしだ歯科クリニック
歯周病について調べていると、
- 「PG菌を除菌する方法」
- 「歯周病菌を完全に殺菌できるのか」
- 「歯周病は完治するのか」
といった情報を目にすることがあります。
特に、歯周病の代表的な原因菌である**PG菌(Porphyromonas gingivalis)**については、「完全に除菌したい」と考える方も少なくありません。
しかし現在の歯周病学では、
👉 PG菌を完全にゼロにすることは現実的ではない
と考えられています。
では、なぜ完全除菌が難しいのでしょうか?
本記事では、歯周病専門の視点から、PG菌と除菌の考え方について解説します。

PG菌とは?
PG菌(Porphyromonas gingivalis)は、
重度歯周病との関連が深い歯周病菌です。
この菌は、
- 深い歯周ポケット
- 酸素の少ない環境
- 出血がある場所
を好みます。
さらに、
- 鉄分
- タンパク質
を栄養源として増殖します。
現在では、
👉 「キーストーンパソジェン」
と呼ばれ、歯周病の進行に大きく関与する細菌として研究されています。
PG菌は完全に除菌できるのか?
結論からお伝えすると、
現在の医療では、PG菌を完全にゼロにし続けることは困難です。
その理由は、
PG菌だけでなく、口の中には700種類以上の細菌が存在し、
細菌同士が複雑な生態系を作っているためです。
また、医療器具のように人間を機械に入れて「滅菌」することはできません。
なぜ除菌が難しいのか?
理由は大きく3つあります。
① 細菌は常に存在している
健康な人の口の中にも細菌は存在します。
つまり、
👉 「細菌がいる=病気」
ではありません。
問題は、
👉 「病原性の高い細菌が増えすぎること」
です。
② バイオフィルムに守られている
PG菌は単独で存在しているわけではありません。
歯の表面では、
細菌が集まって
👉 バイオフィルム
という構造を作っています。
バイオフィルムの中では、
- 抗菌薬が届きにくい
- 洗口液が効きにくい
- 細菌が生き残りやすい
という特徴があります。
③ わずかでも生き残った細菌が再び増殖・定着する
歯周病治療や薬品によってPG菌を大幅に減らすことは可能です。
しかし、無菌化はできないのです。
- 家族との生活
- 食事
- 日常の細菌環境
などの影響で、減らした細菌が再び増殖・定着していきます。

歯周病は再感染するのか?
歯周病はインフルエンザのような感染症とは少し異なります。
歯周病の場合、
「再感染」というより、
👉 「細菌バランスが再び崩れる」
と考えた方が適切です。
現代歯周病学の考え方
以前は、
👉 「歯周病菌を殺す」
という考え方が中心でした。
しかし現在では、
👉 「細菌環境を健康な状態に維持する」
という考え方が主流になっています。
Dysbiosis(ディスバイオシス)
歯周病は、
細菌叢(さいきんそう)のバランスが崩れる
👉 Dysbiosis(ディスバイオシス)
によって進行すると考えられています。
つまり、
PG菌だけを見れば良いわけではなく、
お口全体の環境を整えることが重要です。
PG菌を減らすために重要なこと
完全除菌は難しくても、
PG菌を大幅に減らし、活動しにくい環境を作ることは可能です。
① 歯周ポケットを浅くする
PG菌は、
- 酸素の少ない場所
- 深い歯周ポケット
を好みます。
歯周治療によって、その環境を改善していきます。
② 出血を止める
PG菌は、
血液中のヘム鉄を利用します。
つまり、
👉 歯ぐきの出血はPG菌の栄養源
になります。
炎症を改善し、出血を減らすことが重要です。
③ バイオフィルムを除去する
毎日の
- 歯ブラシ
- フロス
- 歯間ブラシ
が非常に重要です。
④ 定期メインテナンス
歯周病は治療後が重要です。
定期的なクリーニングによって、
PG菌が増えにくい状態を維持します。

歯科医院で行う治療
歯科医院では、
- 歯周ポケット検査
- スケーリング
- ルートプレーニング(SRP)
- PMTC
- メインテナンス
などを行います。
目的は、
👉 PG菌を中心とした」歯周病菌が住みにくい環境を作ること
です。
よくある質問
洗口液だけでPG菌は除菌できますか?
洗口液は補助的な役割です。
バイオフィルム内部の細菌を完全に除去することはできません。
抗菌薬で完全に治りますか?
抗菌薬が使用される場合もありますが、
歯周病治療の基本は、
👉 バイオフィルムの機械的除去
です。
歯周病は完治しますか?
炎症をコントロールし、
長期間安定した状態を維持することは可能です。
しかし、
継続的な管理が重要になります。
武蔵小山で歯周病管理を検討されている方へ
歯周病は、
「細菌をゼロにする病気」ではなく、
「細菌と共存しながらコントロールする病気」です。
特にPG菌は、
深い歯周ポケットや出血環境を好むため、
早期治療と定期管理が重要です。
武蔵小山のよしだ歯科クリニックでは、
歯周ポケット検査や専門的クリーニングを通じて、歯周病の継続的な管理を行っています。
まとめ
PG菌(Porphyromonas gingivalis)は、
歯周病に深く関与する細菌ですが、
完全に除菌することはできません。
重要なのは、
✔ 歯周病菌を減らすこと
✔ 歯周ポケットを改善すること
✔ 出血を減らすこと
✔ バイオフィルムを除去すること
✔ 定期的なメインテナンスを続けること
です。
現代の歯周病治療は、
「除菌」ではなく「管理」
という考え方が中心になっています。
この記事の監修者
よしだ歯科クリニック 院長 吉田浩一
東北大学歯学部卒
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