歯周病治療の目標
歯周病は歯を支える組織が破壊される感染症です。しかしながら、原因となる歯周病菌は口腔内常在菌のため完全な無菌化は不可能なのです。また、お口の中を殺菌(細菌の数を減らす)しても時間が経てば再び増殖し、もとにもどってしまいます。したがって、歯周病の治療目標は「菌をなくすこと」ではなく、歯周病菌をコントロールして、歯を支える組織を健康な状態に維持すること(健口)になります。そのために何を目標に・何をすべきか?を解説していきます。
歯周病の進行システム
①歯周病は世界最大の感染症です。
赤ちゃんの口の中には歯周病菌は存在せず、最初の感染は歯が生え、歯周ポケットが形成されてから始まります。感染の主な経路は親からのキスや食器の共用、ペットや異性との接触です。
(くわしい解説)
人は、生まれてきた時から歯周病菌をもって生まれてくるわけではありません。
最初の感染は歯が生えて歯周ポケットができてからから。感染源は親から。キスや食器の共用などで唾液を介在して感染していきます。回し飲みや食器の共用なども同じです。
もちろん、異性やペットからも感染します。先祖代々感染を続けた歯周病菌は、成人の8割が発症しているといわれる世界最大の感染症となっています。
②歯周病菌のピラミッド構造
歯周病菌の種類・構成は年齢とともに変化し、低病原性の菌から徐々に高病原性の菌へとピラミッド構造を積み重ねていきます。最初は善玉菌や日和見菌がピラミッドの下層を形成し、次第に悪玉菌の割合が増え、成人後にレッドコンプレックスが頂点を形成し悪化していきます。
(くわしい解説)
歯周病菌は、誰にでもいる常在菌ですが、一種類の菌ではありません。歯の表面につくプラーク。

これは、無数の菌の集合体ですが、菌の種類・割合は人それぞれ。年齢によっても変化します。歯周病の原因となる菌をSocranskyの分類に基づいて6色でピラミッド状に表現したものが右図になります。
病原性の低い菌グリーン、ブルー、パープル、イエローの各コンプレックス(集合体)で最下層を形成。これらは病原性の低い善玉菌や日和見菌(普段は悪さをしないが、免疫が落ちた時に暴れだす菌)たちで、小学生頃までに感染します。中学生ころに中程度の病原性の悪玉菌が中段のオレンジコンプレックスを形成すると言われています。
そして、最後に感染するのがレッドコンプレックス。高病原性の悪玉菌で、18歳以降に感染することが多いと言われています。
また、歯周病の感染は、最初にレッドコンプレックスに感染することはなく、最下層の菌群が熟成することで中層のオレンジコンプレックスが形成、これが熟成することで最後にレッドコンプレックスに感染すると言われています。
レッドコンプレックスに感染して完成したピラミッドは、歯肉の炎症や歯周ポケットを深くし骨の吸収を進行させ、一気に歯周病悪化させていきます。

③最恐の悪玉菌レッドコンプレックスの特徴と影響
レッドコンプレックスの中心には3種の菌がいますが、その中でもPg菌は他の低病原性のピラミッド下層の菌を一気に悪性化させる「悪の司令塔」とされています。これらの菌は酸素のない環境を好み、出血した歯周ポケットの中で増殖します。血液中の鉄分やタンパク質をエネルギー源として歯周病を悪化させていきます。
(くわしい解説)
ピラミッドの頂点を形成するレッドコンプレックス。この中でPg菌(Porphyromonas ginngivaris),Tf菌(Tannerella forsythia),Td菌(Treponema denticola)が極悪御三家と呼ばれています。

この中でも最恐なのがPg菌です。Pg菌の特徴は、その菌自身単独では持っている毒性はそれほどひどくないのですが、それまで病原性の低かったピラミッドの下層の菌まで毒性の強い菌に変えてしまうことなのです。

そして、この菌たちは栄養共生といってお互いの代謝物質を分け合い、さらに病原性の強い菌群へと変化していくと言われています。Pg菌は、悪の司令塔ということができます。

レッドコンプレックスの好む環境とは何でしょうか?
1つ目は、空気(酸素)のない所です。このためレッドコンプレックス等の歯周病菌は、歯周ポケットという溝の奥を好んで住みます。(ちなみに、REDは血液の色を示し、RED-COMPLEXは血液を好む菌の集合体の意味です)
2つ目がが鉄分とタンパク質、これを多く含むのが血液です。レッドコンプレックスは、出血する歯周ポケットの中が大好きなのです。
炎症を起こした歯肉の歯周ポケットの中でレッドコンプレックスたちはエネルギー源を得て増殖、そして、おとなしかった善玉菌や日和見菌までも悪性化し、歯周病を発症・悪化させていくのです。
このため、出血しない歯肉を獲得し、レッドコンプレックスの活動を制御することで、悪性化した低病原性の菌を元に戻して歯周病を改善することができるのです。
④歯周病治療の目標
歯周病治療の目的は、歯周ポケットを浅くして、出血しない健康な歯肉を維持することです。出血がなくなることでレッドコンプレックスの活動が弱まり、病原性の低い菌の割合が増えていきます。自己判断ではなく、定期的な歯科検診で歯周ポケットの状態を確認し、専門的な清掃を継続することが重要です。
(くわしい解説)
最初に歯周病治療の目的は「歯を支える組織を健康(健口)にして維持することです」と説明しました。
これを言い換えると「歯周ポケットを浅くして歯周病菌の住処を減らし、出血しない歯肉を獲得・維持していくこと」とも言えます。
治療によって出血しなくなった歯肉の中では、レッドコンプレックスたちはエネルギー源を断たれ勢いを失い、日和見菌たちの病原性も低くなっていきます。これによって、歯周病はどんどん改善していきます。ただし、ここでいう出血しない歯肉とは歯科医院で「プロービング」という歯周ポケットの深さを測定する器具を歯周ポケットの中に入れた時の出血を言い、歯周ポケットの中の炎症性の有無が大事になります。
ご自身で、ブラッシングしても出血しないと思っている方も、実は歯ブラシが歯肉に当たっていないため出血しないという場合もあります。必ず、定期的に歯科医院で歯周ポケットを測定してもらい、状態を把握するようにしてください。(健康保険の歯周病治療でも歯石を取る前や各段階で、必ず行わなければならない検査です。)
そして、治療編で説明する歯周病重症化予防治療やSPT(歯周病安定期治療)といったメインテナンス治療によって、専門家による歯周ポケットの清掃を定期的に行うことは、健康な歯肉を維持するために非常に有効な方法です。
これは余談になりますが、世の中にはあまり歯を磨かないのに虫歯も歯周病にもならない人もいます。これは、お口の中の細菌の種類が善玉菌ばかりの場合に起きるのです。上記で説明したように、細菌は親から子供へ感染します。善玉菌ばかりを持った両親からは、善玉菌ばかりを持った子供が育ちやすいのです。
逆に両親ともに歯周病の家庭で育った子供は歯周病になりやすいといえます。歯周病が気になるお父さんお母さんは早めに歯周病を治療して、お口の中の悪玉菌をお子さんに感染させないようにしましょう。
歯周病を悪化させる因子
- タバコ
喫煙をしている人は、歯肉内部の血行が悪くなり免疫機能が低下し、炎症により破壊された組織の修復能力も低下するため、歯周病を進行しやすくなります。 - 歯にかかる過剰な力
「歯ぎしり」や「食いしばり」のことです。これらの力は通常、物を噛むときの何倍もの力を歯周組織に加えることで、ダメージを与えていきます。そしてこの蓄積が歯周組織を破壊し、歯周病を進行させます。 - 糖尿病
歯周病と糖尿病はお互いに密接な関係を持っており、糖尿病のコントロールが悪いと歯周病を悪化させる原因となります。(詳しくは”歯周病と全身疾患”の部で述べます) - 薬物の副作用
フェニトイン(抗てんかん薬)やニフェジピン(血圧と不整脈の治療薬)等のカルシウム拮抗薬では副作用として歯肉の増殖がみられる場合があります。 - 女性のホルモンバランスの変化
女性ホルモンのプロゲステロン(黄体ホルモン)やエストロゲン(卵胞ホルモン)のホルモンバランスの変化(歯周病菌は女性ホルモンを好む性質があります)や、妊娠中のつわりなどによりプラークコントロール悪化などが歯肉の炎症を悪化させます。 - 口腔乾燥症(ドライマウス)
唾液が減少することで細菌に対する抵抗力が弱くなり、歯周病が進行しやすくなります。 - 遺伝
細菌に対する免疫が弱く、歯周病になりやすい体質などが遺伝する可能性があります - 後天性免疫不全症候群(AIDS)
AIDSを発症することで白血球数が減少し、免疫機能が低下することで歯周病が悪化しやすくなります。また、カポジ肉腫や口腔カンジタ症などの病変が見られることもあります。
歯周病と全身疾患

歯周病は、歯肉に炎症を起こさせ、出血しやすくしますが、このために歯周病菌が血管内に入り込み、全身を廻ることで様々な病気の原因になります。
ここでは、歯周病と関わる病気の一例をご紹介します。
糖尿病
糖尿病とは、膵臓で産生されるインシュリンというホルモンが減少、もしくは消失することで血糖値が上昇し、この状態が長く続くことにより網膜症、腎症、神経障害、動脈硬化などを合併症として引き起こす病気ですが、歯周病とも大きな関連性をもっています。
糖尿病になって高血糖状態が続くと、歯周組織内の毛細血管では、白血球機能の低下やコラーゲン破壊機能の促進、およびコラーゲン合成阻害が起き、血管壁も変性を起こします。
このため、糖尿病のコントロールが良くない場合は、歯周病がどんどん悪化しやすいのです。コントロール状態の目安としてHbA1C(血糖値の平均値を表す数値)7.0%以下を目指しましょう。
また、糖尿病と歯周病の関連性を示すものとして「TNF-α」が注目されています。TNF-αは高血糖状態の時にできる炎症物質で、コラーゲンを破壊します。ところがこのTNF-αは、歯周病病巣でも産生され、血管内に入ってインシュリンの働きを弱め、糖尿病を悪化させることがわかってきました。特に歯周病患者の内Pg菌に感染している人はHbA1cの数値が上がりやすいことが報告されています。
多少難しい話になりましたが、簡単に言いますと、糖尿病の悪化は歯周病を悪化させ、この逆もあるということなのです。ですから、歯周病を治療することが、糖尿病の改善にも繋がるということなのです。
心臓病
歯周病菌が血管を経由して酸素や栄養を心臓に送る冠状動脈に到達すると、血管壁にはりついて血栓を作ったり、血管の脂肪変性を起こし、その結果冠状動脈を詰まらせ、虚血性心疾患である狭心症や心筋梗塞を起こす原因になります。 また、歯周病菌が心臓の内側にある弁に感染すると、細菌性心内膜炎を起こします。
脳梗塞
前述した虚血性心疾患と同じ原理で、脳の血管を血栓により閉塞させ脳梗塞を起こします。
肺炎
高齢者等自律神経の働きが低下した方が、誤嚥(唾液や食べ物が、誤って食道ではなく気道に入ってしまうこと)を起こすと、気道内に入り込んだ歯周病菌が肺で炎症を起こすことがあり、これを誤嚥性肺炎と呼びます。
早産
血液によって運ばれた歯周病菌が羊水の中に入ることにより、免疫細胞は胎児を守るために歯周病菌を攻撃しますが、これが羊膜腔や胎盤膜に作用し、子宮の収縮や子宮頚部の拡張を引き起こし、早産に繋がると考えられています。
また、妊娠中の女性ホルモンを栄養にしている歯周病菌もあり、妊娠を考えている女性の方は、日頃よりお口の健康に気をつけておくことが大切です。
歯周病の検査と診断

歯周病は、普段は痛みもなく経過し、あまり自覚症状もなく悪化していく場合も多い病気です。以下に歯周病が疑われる症状を挙げてみますので、あてはまる方は早めに歯科医院を受診して下さい。
- 歯がぐらぐらする
- 歯磨きのとき出血する
- 口臭がある
- 歯肉に真っ赤な部分がある
- 歯が浮いている感じがする
- 疲れると歯肉が腫れる、痛む
- 歯が長くなってきた気がする
- 前歯が重なってきたり、出っ歯になって隙間が開いてきた
以上の症状にあてはまるものが多いほど、歯周病の疑いが強いといえます。ただ、重要なのは歯周病が否かということよりもその程度、つまり進行度です。なにしろ歯周病は成人の80%以上が罹患しているといわれる病気なのですから。
歯科医院においては、以下のような検査を行って歯周病の進行度を調べていきます。
歯周組織検査
以下の4つの検査を組み合わせて、歯周組織の状態を総合的に診断します。
- 歯周ポケット測定
プローブと呼ばれる下の写真のような器具で、歯周ポケットの深さを測ります。歯周ポケットが1~2mmの場合は健康な状態、4mm以上は病的な状態といえます。そして、深くなればなるほど重症度が増していきます。
治療により歯肉が回復すれば、歯周ポケットの深さは減少していきます。逆に、年月とともに歯周ポケットが深くなっていると、歯周病は進行(悪化)していると判断します。 - 出血状態
歯周ポケットの深さを測るために、プローブを歯周ポケットに差し込んだ時の、出血の有無を検査します。歯周ポケットの中でプラークに感染している場所は、プローブの先が触れただけで出血します。逆に、炎症のない場所では出血しないので、これを区別していきます。 - 動揺度検査
歯周病は歯を支えている骨が溶けていく病気なので、骨が溶ければ歯はグラグラ動き出します。この程度を調べる検査です。生理的範囲の動揺(グラグラ動いていない状態)を0度として、高度の動揺を3度までの、0~3度の4段階に分類します。 - プラーク付着検査
歯の面を4つの面に分け、それぞれの面にプラークの付着があるか否かを調べます。歯周病は何度も述べているように、プラークの感染症です。
それ故に、プラークの除去、すなわちプラークコントロールが一番大切です。プラークの付着総面数を総歯面数で割り、100を掛けてパーセンテージで示します。目標は20%以下ですが、これがなかなか難しいのです。
レントゲン検査
歯周病は、歯を支えている歯槽骨が溶けていく病気ですが、肉眼では見えない部分です。これを画像化して見るのがレントゲンです。骨が溶けている状態の量や形態を見ることで、歯周病の進行度やタイプ、改善度・悪化度を調べることができます。
通常は二つの検査を組み合わせることで、総合的に歯周病の状態を把握します。この他、必要に応じて口腔内写真やスタディモデル(歯型)による各種検査も行います。
歯周病の治療
歯周病が、プラークの中の歯周病菌による感染、特にレッドコンプレックスが原因であることは、これまで述べてきた通りです。この影響を減らし、歯周組織を改善することが、治療の目的になります。すなわち、お口の中から歯周病菌を低病原性化し、活動を弱めること。その住処(歯周ポケット)を小さくしていくことが、歯周病治療の目的といえます。この目標達成のためには、患者さん本人と歯科医院スタッフの協力による、二人三脚が不可欠です。
先に行った検査診断に基づいて、歯周病の状態を把握し、治療計画をたてます。
歯周病の現状と治療方針の説明
まず、行った検査に対して現在の状態(歯周病の進行度)について説明します。歯周病は生活習慣病であるため、歯科医院でどんなに原因の菌を除去しても、現在までの状態に至った習慣がそのままであれば治療効果は半減し、良い結果は望めません。歯周病の改善には、プロフェッショナルケア(歯科医院での治療)とセルフケア(ご自身でのブラッシング)の両方が大切です。
このため、日常生活でどのような事に注意して、どのような点に気をつけてプラークコントロールを行えば良いかをお話します。
歯周初期治療
初期治療では、歯周病の主原因であるプラークの除去、及び根面に付着している歯石などの局所因子を取り除く治療を行います。
口腔清掃指導
第1は、口腔清掃指導ですが、患者さんご自身に行っていただきたいのは、歯肉縁(歯と歯肉の境目)のプラークをしっかりと落とすということです。
歯周ポケット深部のプラークコントロールは、歯科医院側の仕事ですが、いくらこれを行っても歯肉縁からどんどん歯周病菌が供給されれば、歯周病の治癒は全く望むことはできません。
ここでは、歯科衛生士が患者さん一人一人の口腔状態に合った清掃方法や、清掃器具の選び方、使い方についてアドバイスをします。
歯周組織検査で歯周ポケットが深かった部分や、出血がみられた部分は、特に注意してブラッシングを行う必要があります。指導に耳を傾け、「磨いている」ではなく「磨けている」すなわち「プラークが取れている」状態にしましょう。
スケーリング・ルートプレーニング
第2は、「スケーリング・ルートプレーニング」です。これは、歯肉縁から下のプラークや歯石を除去し、根面を骨沢にするプロによる清掃になります。
スケーリングとはプラークと歯石を除去することです。歯石はプラークが唾液に溶けているカルシウム分で石灰化し、鍋の焦げ付きのように硬くくっついたもので、ブラッシングでは除去することができません。患者さんのブラッシングがしっかりと行えていると、スケーリングを行った後は、歯肉の赤みがとれて改善がみられてきます。
スケーリング終了から一週間から十日ほどの治癒期間をおいて再度検査を行います。この時点で、歯周ポケットの深い部分、出血の見られる部分は、ルートプレーニングを行います。
ルートプレーニングとは、ポケット内の深部歯石を除去して、表面を滑沢にして、プラークのつきにくい表面にすることで、根の表面から剥がれた歯肉を再付着させ、歯周ポケットを減らすための治療です。
この治療は歯周ポケットの深い部分に対して行う治療のため、通常局所麻酔下で行います。
再評価
歯周初期治療が終了したあとの適切な治癒期間をおいて、検査を行います。検査の結果により、治癒(終了)、またはメインテナンスへ移行し症状の安定を図ります。改善しない部位には歯周外科治療を行います。
歯周外科治療
これまでの初期治療で改善困難な部位に対して行う外科的な治療です。この治療の目的は、スケーリング、ルートプレーニングではどうしても取りきれない歯石やプラークを、歯肉を切開して明視野において取り除くことです。そしてもう一つの目的は、歯ブラシの届きにくい部分の骨の形態を整えたり、再生医療の技術を使って歯周組織の再建をはかることです。
歯周組織再生法には、健康保険に導入された「リグロス」という薬品を使って失われた歯槽骨を再生する方法もあります。リグロスの成分は細胞を増やす成長因子で、この 成長因子の作用により歯周病で破壊された歯周組 織の再生を促進する治療法です。歯周外科手術で、 プラーク・歯石などを取り除いた後に歯槽骨の欠損部にリグロスを塗布し、歯を支えている歯根膜や歯槽骨などの歯周組織の再生を促します。
リグロスを使用した歯周組織再生治療
歯周初期治療終了後、深い歯周ポケットが残り、かつ縦型の骨の欠損がある場合には、歯周外科手術にリグロスという薬品を骨の欠損部に応用することで、失われた歯槽骨を再生することができる場合があります。
歯周組織の再生の流れ




手術の流れ




再評価・メインテナンス
全体の治療が終わった時点で検査を行います。症状が治癒・安定していれば、メインテナンスに移行します。
メインテナンスでは、定期的に歯周ポケットの中をプロフェッショナルケアにより普段の歯ブラシでは届きにくい部分を清掃し、再付着したプラークや歯石を取り除いていきます。
超音波の機器で清掃することにより歯周ポケットの中へ歯周病菌の嫌う空気を送り込み、レッドコンプレックス等悪性菌の働きを弱めます。健康保険治療では、歯周病安定期治療(SPT)や歯周病重症化予防治療という名前で導入されています。
また、定期的にPMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)を行って、歯周病の再発を防いでいきます。