歯が抜けた時 - よしだ歯科クリニック|武蔵小山駅 徒歩9分

歯が抜けたところの治療

私ども歯科医療従事者にとっても患者様にとっても一本一本の歯は大切な体の一部であり、一生大切に良い状態を保っていきたいものです。しかしながら、歯の状態によっては「抜歯」という選択をしなければいけない時があり、その場合抜いた部分の機能や審美的な部分をいかに回復していくかが大切になります。

患者様の中には「抜いてインプラントにしましょう」と言われた方もいらっしゃるかもしれませんが、選択肢は3つ。「ブリッジ」・「入れ歯」・「インプラント」。各々特徴がありますので、ご自身のお口の中の状態、ご希望、ご予算等によって歯科医師と相談してベストな選択をしていきましょう。

① 抜けた部分を放っておくと・・・・

歯が一本抜けると・・・、見た目の違いだけではありません。
歯は、一本一本が役割をもって機能しているため、その部分の機能低下は当たり前なのですが、周りの歯にも変化が起きてきます。

抜けた歯の奥の歯は手前に向かって倒れ始め、抜けた歯のかみ合わせになっていた歯は抜けた部分に向かって伸びてきます。これによって、噛み合わせの位置や高さに変化が生じます。さらに今度は顎の関節の位置に狂いが生じ(噛み合わせの変化)、全身でこれを補正するために姿勢を変化させ、バランスをとるようになります。

バランスをとるといっても気が付かないうちに体の左右の姿勢バランスが崩れているわけで、肩こりに限らず体の不調和が起きるようになってきます。また、奥歯の噛む高さの低下を放っておくと、上の前歯が出っ歯になったり、下の前歯が重なってきたりする場合もあります。
1本の抜けた部分の放置が、わずかな変化の連鎖を起こしていきます。

② 3つの選択肢

ブリッジ

~抜けた部分の周囲の歯を複数本削り、抜けた部分とかぶせ物で連結して接着剤で固定していく方式

 利点
  • 抜ける前と比べ歯の大きさ形がほぼ変化しないため、違和感が少ない
  • 健康保険が適用のケースでは、自己負担費用が抑えられる
欠点
  • (健康な歯も含め)歯を削る必要がある
  • 支えとなっている歯の負担が増える。そのため、支えがしっかりしている歯を土台にする必要がある→土台になる歯の負担の能力の計算、歯周病の状態・管理が重要
  • 繋がっている部分はブラッシングがしづらく、デンタルフロスも通りません

《前歯のブリッジの例》          

歯を削って型を取る
ブリッジを調整
ブリッジを接着剤にて装着

  ・入れ歯

~抜けた部分の歯肉の土手に「床」と呼ばれる歯肉色の樹脂プレートをフィットさせ、その上に歯を並べた方式。取り外し式(着脱式)

利点
  • 1本抜けた場合から、全部の歯が抜けている場合まで適応範囲が広い
  • 残っている歯が、歯周病が進行して多少グラグラしていても適応できる(ただし、あまりにグラグラが大きい場合は、型を取るときに抜けてしまうので、事前に抜歯が必要です)
  • 麻酔等が必要ないので、有病者にも適用が広い
  • 健康保険が適用のケースでは、自己負担費用が抑えられる
欠点
  • 「床」の部分が付属し装置の大きさや厚さのため装置が大きくなり、違和感が避けられない(受け入れ、慣れる必要がある)
  • 保険適用の入れ歯では、クラスプ(ばね)と呼ばれる針金型の金属が付属し、審美障害となる
    ※自費診療の入れ歯ではクラスプがない入れ歯、違和感の少ない入れ歯などが製作可能です。詳しくは「入れ歯」のページをご覧ください。
  • 入れ歯の支えとなっている歯の負担が多少増加する。合わない入れ歯を使い続けると歯の寿命を縮める結果となりますのでご注意ください。
  • クラスプがかかっている歯などはプラークがたまりやすいので、虫歯・歯周病に罹患しやすい(ブラッシング時は、必ず入れ歯を外して丁寧に)
  • 他の2つの方式と比べると噛む力は弱い
  • 床で覆う部分が広い場合、味覚や温度を感じにくくなる

 《入れ歯の例》

※入れ歯は、抜けている部分の位置や本数により様々な形をとります。

インンプラント

~手術を行うことで骨の中にチタン製の「インプラント(人工歯根)」を埋め込み、骨と結合させ歯を入れる方式。骨と結合後は位置の移動ができず、咬合の配慮はもちろん神経など重要な組織を損傷しないように、精密な術前診断と精度の良い手術が必要とされる

  利点
  • 他の歯の処置が不要(抜けたところ以外の歯を削ったり、負担をかけたりしない)
  • 骨に支えられているため、支えが強固。噛む力が最も強く発揮できる
  • 自然な審美性を確保しやすい
  • 取り外し不要で、ご自身の歯と同じようにブラッシングできる
欠点
  • 必ず、手術が必要。(持病の状態により、向かない場合もある)
  • 健康保険が適用できず、費用が高くなる
  • インプラント周囲炎(ご自身の歯でいうと歯周病)という細菌感染のリスクがあり、日頃の適切なブラッシングと歯科医院でのメインテナンスが不可欠
  • インプラントを埋め込む場所に骨が不足している場合は骨造成、角化歯肉という重要な歯肉が不足している場合は歯肉移植など、オプション的な手術が望ましい場合がある

 《インプラント治療の進行》

ドリルで骨に穴をあける
インプラント埋入
骨と結合後、歯を固定

③ 選択の基準

~3つの選択肢の内から歯科医師の診断・治療方針と患者様のご希望を合わせて最終的な歯の入れ方を決めていきます。
歯科医師の判断によってはこのやり方は望ましくないと説明を受ける場合もあるかもしれませんが、ここでは患者様の立場での選択の仕方を記載します。

  • 手術を避けたい~インプラントは手術が必須ですので、ブリッジまたは入れ歯を選択します
  • 違和感が少ないものを選びたい~一般的に違和感の少ない順にインプラント、ブリッジ、入れ歯の順になります。入れ歯は、付属する部品や装置自体が大きくなる傾向があり、違和感は大きくなりがちです。
  • 治療費用を抑えたい~健康保険適用があるのは、ブリッジと入れ歯。ブリッジの銀歯になる部分や入れ歯のクラスプ(ばね)の見える部分などの説明を受け、問題なければ選択します。
  • 審美的に配慮した治療をしたい~最も自然感のある素材はセラミック系の素材を使ったインプラントやブリッジです。入れ歯でもクラスプのない義歯もありますが、これらは、健康保険適用外の自費診療になります。(歯科医師にご相談ください。)
  • 自分の歯を削りたくない~まったく削らないのはインプラント。入れ歯も「レスト」と呼ばれる義歯の沈み込みを抑えるための仕組みを付与するため、クラスプをかける歯を少し削る場合が多いです。ブリッジは基本的にかぶせ物をするため歯を削りますが、「接着性ブリッジ」と言う削らないブリッジもあります。(歯科医師にご相談ください。)